女性用風俗レビュー後編「風俗で、青春を取り返した日」

浴室から上がると、オトコが黙ってタオルを手に取り、私の全身を丁寧に拭いてくれた。入浴介助からシモの世話まで、ここまでされると、もはや風俗というより介護ではないか。そんな言葉が喉元まで出かけたが、オトコの手つきにふと目を落とすと、それは父性のようでもあり、献身でもあり、久しぶりに「女」として扱われている気がして、それが金銭を孕んだものであっても、愛を感じてしまう。

オトコは全身を拭き終えると、バスローブを羽織らせ、「ベッドに上がって」と、私はオトコの指示に促されるまま、うつ伏せになって待機した。部屋には淡い、東京カレンダーチックな照明と、スマホから流れる静かな音楽。波の音とオトコの鼓動音が重なり、膣の奥行きが広がっていくように感じる。

オトコはバスローブを静かに脱がせると、私の背中に柑橘系のマッサージオイルを数滴垂らした。トロリと垂れた液体は、皮膚の上を滑り、ぬくもりとともに中へと沈んでいく。肩甲骨の間から、背骨に沿って親指がグーッと沈んでくる。皮膚に小さな窪みが生まれ、それが揉み解かれながら動いていく感覚は、内臓ごと愛撫されているようだった。

北から南へ、胸、腰、そして脚へと手が移動し、ついに我が琵琶湖——恥丘の谷へと手が伸びてきたとき、私はすでに湧水のごとく潤っていた。オトコの指が湖面を探り、指先で真珠をそっと摘み上げた瞬間、浅い呼吸が繰り返され、シーツにしがみついた。

音楽、柑橘の香り、肌を這う指の温度。すべての感覚がゆっくりと充電され、果実が今にも爆ぜそうになったとき、私はつい、「もう……入れたい……」と漏れる本音に、オトコは「ごめん。本番はできないんだ」と返した。本番行為がNGなのは誰よりも分かっていたが、ルールよりも欲望が勝ってしまった自分に、これが箱型ヘルスならボーイにつまみ出されているだろう。

オトコは気分を変えるように、「その代わり、ほら——」と、言葉とともに舌先をゆっくりと琵琶湖の奥に滑り込ませてきた。「すごい、シーツまで濡れてる」とオトコが呟いたそのとき、私は完全に警戒水位を超えていた。2025年、近年稀に見る浸水被害で、この女体における地形災害は、まさしく天災で、7月5日の予言はこのことか、とハッとする。

「俺のも舐める?」と、「俺の」の時点で私は自ら舌先を使いオトコのモノを咥えていた(よっ!はやとちり!)

「うまいね、出そう……」と、一軍が初めて三軍に白旗を揚げ、カースト制度を何十年越しに覆した結果に、私は拳を上げる。

お互いハテ終え、オトコの鍛え上げられた腕に収まりピロートークに入る。膣も心もほぐれ、思わずこの世界に入った理由や、プライベートなことを踏み込んで聞いてしまった。これではまるで嬢を困らせる風俗通いのオヤジではないか、と反省したが、オトコは慣れた口調で質問に返してくれた。

部屋を出る際、「ほら!スマホ忘れてるよ!」と、最後の最後までケアを怠らないオトコの気配りと目配りに、「もううちに嫁いでください」と、そんな気持ちだった。

「ありがとう、すごく楽しかったよ」と、エントランスで微笑まれたとき、射精いらずのオトコのご好意は、本番行為以上の多幸感をもたらし、当然、来週の予約も入れる私なのであった。